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2008.07.10 900nmの溝入れ加工用超精密ダイヤモンド切削工具を開発

重点開発製品ご紹介
900nmの溝入れ加工用超精密ダイヤモンド切削工具を開発

 

株式会社アライドマテリアル(代表取締役社長 鴻野 雄一郎)は、これまで半導体製造プロセス技術(※1)を用い行われていた1μmサイズの矩形溝加工を、超精密切削加工で可能にする900nmの溝入れ加工用超精密ダイヤモンド切削工具「UPC」ナノグルーブ(※2)の開発に成功した。
 

1.開発背景
従来、μ-TAS(※3),MEMS(※4)などに必要なマイクロパターン加工や、回折格子(※5)の微細溝加工には、フォトリソグラフィ法(※6)やイオンビーム法(※7)などの半導体製造プロセス技術が主に用いられてきた。
しかし、製造装置が高価で加工材料もシリコンなどに限定されるためコストが高く、また、加工方法の制約から滑らかな曲面やシャープなコーナエッジが得られないなどの問題点があり、精密ダイヤモンド工具による切削加工への置き換え要求が高まりつつある。
 

2.新製品の特長
超微細溝入れ加工用「UPC」ナノグルーブは、新しく開発した研磨装置と研磨技術により、研磨時の刃先欠損原因となる振動の抑制(従来比:1/5)と数十ナノメータオーダの研磨量コントロールを可能にし、溝入れ用バイトとしては世界最小となる刃幅900nmを実現した。
特長は以下の通り

(1) 最小900nmの超微細溝入れ加工が可能
(2) 刃先突出長さを必要最小限に抑え、高い剛性を確保
(3) 精密プラスチック金型の材料である無電解ニッケルめっきや銅、アルミなど、様々な材料の超微細溝入れ加工が可能
(4) フォトリソグラフィ法では難しい傾斜面の加工が可能
(5) フォトリソグラフィ法やイオンビーム法では得られない加工面の真直性を実現

 

3.今後の展望
超微細溝入れ加工用「UPC」ナノグルーブの開発により、既に普及している超精密切削加工機(※8)を用いたマイクロ切削加工への置き換えが実現する。今後、バイオ・メディカル、半導体、マイクロマシン(※9)分野などへマイクロ切削加工の適用範囲が拡がれば、様々な材料による高精度で微細なパターンの金型製作が可能となり、新たな超精密部品の量産に適用できると考えられる。
 

4.用途
回折格子の金型、μ-TASの金型、ナノインプリント(※10)用金型、マイクロマシン部品の加工やその金型の加工
 

5.価格と販売目標

価格 概算500千円~800千円/1個
販売開始 2008年10月1日より
販売目標 2009年販売目標 2億円
以上

 
 

【語句説明】

(※1) 半導体製造プロセス技術
半導体回路をシリコンウエハ上に形成するための製造プロセスの事。成膜、レジストコーティング、露光、現像、エッチング、レジスト剥離などのプロセスがある
(※2) 「UPC」ナノグルーブ
超精密ダイヤモンド切削工具(Ultra Precision Cutting Tool)で1mm以下の微細溝入れに使用される溝入れ用切削工具の事。主に回折格子金型の加工に使用されている
(※3) μ-TAS
μ-TASとはMicro Total Analysis Systemの略称でポンプ、バルブ、センサなどを小型化・集積化した化学分析システムの事。微細な流路の中を血液や細胞など試料が流れ、試薬との反応を センサで検知して分析するシステムで、試料や試薬が飛躍的に少なくて済み分析のスピードアップが図れる
(※4) MEMS
MEMSとはMicro Electro Mechanical Systemsの略称で、機械要素部品、センサ、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板などの上に集積化したデバイスの事。これらが、積層されるため3次元的な溝や穴加工が必要になる
(※5) 回折格子
格子状のパターンによる回折と干渉を利用して、分光などに用いられる光学素子の事。DVDなどの光ピックアップユニットでは1つのレーザ光をトラッキング(同じ溝を追随)や信号の読み取り用の2つのレーザに分光するために用いられている
(※6) フォトリソグラフィ法
半導体の微細パターンを成形する方法の事。基板に感光材料(レジスト)を塗布して、そこ にパターンを焼付け、現像液に浸けて未露光の部分のレジストを除去すると,レジストにパターンが形成される。さらに,エッチングを用いて基板表面を選択的 に除去することにより基板にパターンを形成する方法
(※7) イオンビーム法
イオンビームにより試料表面の原子をはじきとばすことによって試料を削ることができる 成型方法の事。イオンビームは数100nmから数nmまで絞ることができるので、ナノ領域での加工が可能である
(※8) 超精密切削加工機
超精密ダイヤモンド切削加工用のCNC加工装置の事。旋盤方式やマシニングセンター方式があり、加工機の動きはナノメータオーダで制御され、プラスチック非球面レンズの金型やレーザ反射ミラーなど様々な超精密部品の加工に使用されている
(※9) マイクロマシン
マイクロマシンとは超小型機械の事。大きさの定義はまちまちであるが、mmオーダーからμmオーダーの機械構造を言う
(※10) ナノインプリント
ナノインプリントとは金型に刻み込んだ寸法が数十nm~数百nmの凹凸を,基板上に塗布した樹脂材料に押し付けて形状を転写する技術の事。転写の工程は数分で終了し,同じ形状の部品を短時間で大量に作り出せる