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2009.10.26 塑性加工可能な高比重タングステン合金を開発

重点開発製品ご紹介
塑性加工可能な高比重タングステン合金を開発 ~鉛代替~

 

株式会社アライドマテリアル(代表取締役社長 鴻野 雄一郎)は、高比重の特徴を持つタングステン合金(※1)(登録商標:ヘビイメタル)を従来から製造、販売中だが、このほど複雑な形状に塑性加工(※2)が可能な新製品の開発に成功、販売を開始した。鉛代替や、放射線遮蔽、バランサ用途などの市場への更なる展開で、2010年度には年商3億円を見込む。
 

1.開発背景
ヘビイメタルは、高比重(比重10~18.5)という特性から、カウンターバランサ、重量調整用おもり錘などの各種錘や、放射線の遮蔽(※3)用材料として様々な分野で使用されている。しかしながら、このような用途では、高比重、低コスト、低融点で成形性に優れるなどの特徴をもつ鉛(Pb、比重11.3)が、主として用いられてきた。
近年において、環境規制強化に伴い様々な産業分野における鉛フリー化が進められており、鉛に替わる環境負荷の少ない材料候補としてヘビイメタルが着目されてきた。しかし鉛や鉄に比べて、従来のヘビイメタルは延性(※4)に 乏しく塑性変形しにくいため、複雑形状品の製造には切削・研削加工などの機械加工工程を選択することになり、加工コストや加工しろ(余肉)分の材料費が上 乗せとなるなど、量産コストが割高となることから、切替が進まないという問題があった。また、錘用途などで、鉄Feや銅Cu等と同等の強度を維持しなが ら、コンパクト化や軽量化に向け、錘部品を高比重仕様とするためヘビイメタルへの切替ニーズも多いが、この場合も、複雑形状ではコストが割高となり、採用 が進まなかった。
当社は、これらの問題を解決すべく、加工コストと材料ロスの低減・省略の実現に取組み、冷間、熱間プレス(※5)により複雑な形状に量産成形できるヘビイメタルの開発に成功した。
 

2.新製品の特長
写真1
比較的単純な形状の一例(上写真)では、単純な丸棒からパイプ半割形状へと大きな変形を施した後でも、クラックの発生はなく、素材全体で良好な組織を維 持している。これにより、通常、切削や研削加工を行っていた工程を省略でき、材料ロスも殆ど無く、冷間、熱間プレス工程による生産スピードの向上も果して いる。本事例では、従来のヘビイメタルの場合と比較して、量産時のトータルコストを、約1/3に、また生産スピードを2倍以上に向上させることができた。
 

当社では、今回の開発にあたり機械的強度も重視した。比重12で、伸び率(※6)40%以上、引っ張り強度(※7)900MPa 以上を実現した。伸び率では鉛、鉄を上回り、引張り強度についても、一般的な構造鋼であるS45Cの同等以上で、鉛に対しては約50倍と非常に大きな値を 示している。こういった特色は、自動車エンジンのクランクシャフトのバランサといった高強度が要求される分野以外に、従来、例えば鉛と鉄など、他の補強材 を組み合わせなければ実現できなかった構造材を単一素材で実現できることに繋がり、放射線遮蔽と機械的強度の両立が求められるような用途への応用も期待で きる。その他、丸棒からベーゴマのような形状へのプレス加工や、板状への圧延、及び曲げ加工も可能である。(下写真参照)
写真2 写真3
 

3.用途
放射線遮蔽部品、産業機器部品、医療関連装置部品、自動車・航空用部品(バランサ)、機械工具類、レジャー用品ほか。
 

4.販売目標

販売開始 2009年8月より開始済
販売目標 2010年販売目標 3億円

以上

 

【語句説明】

(※1) タングステン合金
タングステン(W)を主成分とし、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)などを添加し、粉末冶金法により焼き固められたもの
(※2) 塑性加工
材料に大きな力を加えて変形させることによって、目的とする形状に加工することである。一般に他の加工方法より加工時間が短く、材料のロスが少ないため、工業製品の生産等に広く用いられる
(※3) 放射線の遮蔽
放射線漏れを防ぐこと。中性子は水、γ線は鉛やタングステン等の高比重材が有効とされる
(※4) 延性
伸び易さ。変形しながらも破断しにくいような性質。反対には脆さを示す脆性がある
(※5) 冷間、熱間プレス
冷間プレス(cold press) とは再結晶温度以下の常温での成形。仕上がりの製品の寸法精度が熱間鍛造より優れる。熱間プレス(hot press)とは、素材の変形抵抗を減少させるために再結晶温度以上の高温に加熱した成形
(※6) 伸び率
伸びを示すもの。両端を引張り、破断に至るまでの伸び易さ
(※7) 引っ張り強度
両端を引張り、破断に至るまでの力の強さを示す値


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