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2015.04.17 新しいタングステン系接合ツールを開発

ステンレス鋼の摩擦攪拌接合が可能に
-新しいタングステン系接合ツールを開発-

株式会社アライドマテリアル(本社・東京都港区芝1-11-11、代表取締役社長 北川信行)は、日本アイ・ティ・エフ株式会社(京都府京都市南区久世殿城町575番地、代表取締役社長 芝原和人)、および国立大学法人東北大学大学院工学研究科材料システム工学専攻の佐藤裕准教授、粉川博之教授(宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6番6号、大学院工学研究科長 滝澤博胤)と共同研究を行い、オーステナイト系ステンレス鋼の摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding、以下FSW)を可能にする高寿命なタングステン系接合ツールの開発に成功しました。本成果は2015年4月22日から24日、学術総合センター(東京都千代田区一ツ橋)にて開催される溶接学会の春季全国大会で発表します。

◆ 鉄鋼のFSWにおける課題
一般に金属材料は高温になると軟化する性質があります。FSWはこの性質を利用してアルミニウムの接合で実用化されていますが、融点がより高い鉄鋼のFSWでは、ツールの先端が摩擦熱でさらに高温になり、従来の接合ツールでは激しく損傷してしまうため難しいとされてきました。特に高温でも変形抵抗の高いオーステナイト系ステンレス鋼のFSWに対しては、耐久性に乏しいことや価格が高いという課題があり、耐久性が高く安価なツールの出現が望まれていました。

◆ 開発したツールの特徴
高価な元素を使用しない低コストのタングステン合金に耐摩耗性に優れるセラミック被膜をコーティングすることで、ツールに下記のような特徴を持たせ、価格では現在最有力とされるツールよりも低価格を目指しながら、従来の低価格ツール材料に比べて高い耐久性と高寿命化を実現しました。

① タングステンにセラミック粒子を分散させ、その種類や添加量を最適化して優れた高温強度、高い靭性、および高い耐熱衝撃性を実現。
② セラミック被膜の膜質と密着力を制御して高い耐摩耗性を実現。

鉄鋼の中でも最もFSWが困難であったオーステナイト系ステンレス鋼において、接合深さ4mmで10m以上の線接合ができることを確認しました。開発したタングステン系ツールは、ステンレス鋼の他、炭素鋼、高張力鋼、低合金鋼、そして銅合金などのFSWにも有効で、電力および化学プラント、鉄道車両、真空容器を使用する半導体製造装置などの産業分野への展開が期待されます。

以上
  
開発した接合ツール

開発した接合ツール

  
開発した接合ツールを用いたオーステナイト系ステンレス鋼の接合例

開発した接合ツールを用いたオーステナイト系ステンレス鋼の接合の例

 
 

◆ 共同研究の役割分担

 株式会社アライドマテリアル  :タングステン合金の開発
 日本アイ・ティ・エフ株式会社  :セラミック被膜の開発
 東北大学              :ツール性能評価とツール損傷機構の解析

◆ 株式会社アライドマテリアルについて
タングステン・モリブデン・ダイヤモンド・cBN等の材料、部品、工具の総合メーカー。住友電気工業株式会社の100%子会社。

◆ 日本アイ・ティ・エフ株式会社について
セラミックコーティングの受託加工および各種薄膜の成膜装置製造販売メーカー。日新電機株式会社51%、住友電気工業株式会社49%の子会社。

◆ 用語の説明

摩擦攪拌接合 : 回転するツールを接合する材料の間に押込み、接合線に沿ってツールを走行させることで接合する方法です。接合材料と回転するツールとの間で発生する摩擦熱で接合材料を軟化させ、ツールの回転により材料を混ぜ合わせることで接合します。この接合方法は、従来のアーク溶接などとは異なり、材料を溶かすことなく接合できるため、接合後の変形も小さく接合欠陥の発生も少ないため、製品の高品質化と低コスト化を実現でき、さらには、従来の接合方法と比較して省エネルギーで接合できるという特徴があります。現在、融点の低いアルミニウム合金などの接合技術として広く普及し、鉄道車両や自動車などの製造において実用化されています。

◆ 問い合わせ先

株式会社アライドマテリアル 材料研究部
〒931-8543 富山県富山市岩瀬古志町2
部長 上西 昇
E-mail: uenishi-noboru@allied-material.co.jp
TEL: (076)437-1951㈹  FAX:(076)437-1955