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熱伝導率がCuの1.5倍!金属最高熱伝導の銀とダイヤモンドを複合化した放熱基板材料のご紹介。

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ヒートシンク/ 2022/06/02

近年、半導体素子の高性能化、モジュール小型化の開発トレンドを受け、あらゆる分野で熱密度上昇による放熱問題が生じています。
周辺部材の放熱が追いつかず、半導体素子の性能を十分に発揮する事が難しい状況下であり、各所で実装時の放熱効率向上の開発が進められている状況です。
その中でアライドマテリアルの高熱伝導放熱基板である銀-ダイヤモンド複合材(Ag-Diamond)が活用されており、今回はそちらをご紹介します。

1.Ag-Diamondとは?

一般的に放熱基板として使用されるCuの熱伝導率が394W/(m・K)であるのに対し、Ag-Diamondは600W/(m・K)以上と、1.5倍以上の熱伝導率を持つ材料です。金属の中で最高の熱伝導率を持つAgと、世の中の物質で最高の熱伝導率を誇るダイヤモンドの粉末をアライドマテリアルの独自技術で複合化しました。主に、放熱部であるGaN(窒化ガリウム)、SiC(炭化ケイ素)などの高性能半導体素子と金属ベースプレートの間に実装されます。半導体素子は熱膨張係数が小さく、放熱基板にも低熱膨張が求められますが、アライドマテリアルのAg-DiamondはCuの約1/2まで熱膨張係数を抑えている為、放熱を促進しつつ、素子に掛かる熱応力を緩和でき、製品の信頼性を高める事が可能です。現在は使いやすさに磨きをかける為、更に低熱膨張のAg-Diamondの開発も進めています。

2.Ag-Diamondの強み

従来のダイヤモンド材は大型素材の製造が難しい欠点がありましたが、Ag-Diamondはアライドマテリアルのコア技術である溶浸法を応用する事でその欠点をカバーし、大面積素材の製造を実現しました。これにより上述の用途のみではなく、放熱性が特に求められる高出力パッケージのベース板や大型デバイス用にも使用範囲が広がりました。また社内でめっき処理(Niめっき、Auめっき)を行う事も可能であるほか、冷熱サイクルや高温処理(800℃)でも熱伝導率の低下が少ない事から、従来のダイヤモンド材ではできなかった銀ロウ付けによる実装も可能です。

3.まとめ

Ag-Diamondは上市後、優れた材料ポテンシャルを持つ事が認知され、衛星通信、航空用レーダーなどの分野に使用されており、今後も更なる拡販を目指していきます。
放熱基板の詳しい情報はこちらをご覧下さい。