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核融合発電の国際プロジェクト「ITER(イーター)」とタングステンの役割

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タングステン/ 2018/12/21

皆さんは、核融合発電の技術についてご存じでしょうか?核融合は、夢のエネルギーといわれており、今世界中から注目が集まっている技術です。その核融合の技術にタングステンが関わっているのです。今回は、核融合の仕組みと核融合発電の国際プロジェクト「ITER(イーター)」についてご紹介いたします。

1.核融合炉が”人工の太陽”と呼ばれる理由

”人工の太陽”夢の技術核融合炉とはどんなものでしょうか?核融合反応とは、水素のような軽い原子どうしが衝突・融合し、1つの少し重い原子ができる反応です。実は私たちは、核融合反応なしには生活できない存在です。というのは、地球を照らす太陽のエネルギー(熱や光)は核融合反応によるものだからです。太陽は、ほとんどが水素でできたガスの塊ですが、その中心部では、水素の核融合反応が起きているのです。つまり、核融合反応(核融合炉)を実現することは、地球上に太陽をつくりだすようなものなのです。この太陽がエネルギーを生み出す仕組み(核融合反応)を地球上で実現するためには、人工的にきわめて高い高温か、きわめて高圧の環境を作り出す必要があり、その実験炉として「ITER」があります。

2. 核融合発電は夢の発電技術?

火力発電で使われる化石燃料や、原子力発電で使われるウランには、資源量が有限で将来の枯渇が心配されています。一方で、核融合発電の燃料は「重水素」と「トリチウム(三重水素)」という物資ですが、海水から得られるガスの使用が考えられており、これらは事実上、尽きることがないとみなされています。また、少ない燃料で大きなエネルギーを生み出せることや、安全性が高いことも、核融合発電のメリットです。核融合発電では、異常が起こると、反応が急速におさまっていくという性質があり、暴走することは原理的にありません。このように、「豊富な資源」「高いエネルギー効率」そして「高い安全性」のため、核融合発電は夢の発電技術といわれています。

3.ITER(イーター)のご紹介とタングステンの役割

核融合発電の実現に向けて、1940年代に始まった研究は、ようやく「原型炉(発電を実証する炉)」の前の段階の「実験炉」の建設に至りました。それがITERです。「ITER」は、国際熱核融合実験炉が語源で、イーターと読みます。 ITER計画は2025年の運転開始を目指しフランスの南部サン・ポール・レ・デュランス(マルセイユより60㎞内陸)にて建設中で日本、EU(ヨーロッパ連合)、アメリカ、ロシア、韓国、中国、インドの7極がかつてない規模のプロジェクトを進めています。ITER計画は、平和目的の核融合エネルギーが科学技術的に成立することを実証する為に、人類初の核融合実験炉を実現しようとする超大型国際プロジェクトです。ラテン語で道や旅という意味を持つ「ITER」には、核融合発電実用化への道・地球のための国際協力への道という願いが込められています。さて、このITERに当社で扱っている材料のタングステンはどのように関わっているかですが、図をご覧ください。これは、ITERの完成予想図です。下のほうに「ダイバータ」という部分がありここで使われます。ダイバータは核融合反応で発生するヘリウムや混入した不純物を廃棄するための装置で、たてよこ3センチ、厚さ1センチくらいのブロック状のタングステンブロックが大量に、耐熱のために使われる予定です。画像《ITER模式図》 出典:文部科学省ホームページ (http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/021/005.htm)

ITER断面図 提供:文部科学省
 

4.まとめ

今回は、核融合発電の国際プロジェクト「ITER(イーター)」とタングステンの役割をご紹介しました。核融合炉は”人工の太陽”と呼ばれ、太陽で起こっている核融合反応と同様の原理であることや、核融合の世界プロジェクト「ITER」とその中でタングステンがどのように使わるか少しでも知っていただけたら嬉しいです。当社も未来の発電に貢献ができるように、邁進していきたいと思います。未来の私たちの生活がどうなっていくのか楽しみですね!写真:《ITER建設地(2016年7月)》出典:文部科学省ホームページ(http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/021/005.htm)

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