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核融合エネルギーフォーラム主催のITER/BA成果報告会で、パネル展示をしました。

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タングステン/ 2020/01/15

安全で環境に優しい次世代エネルギーとして期待されている核融合の実験炉(ITER)には、高い耐熱性を特長とするタングステンブロックが用いられています。

1.ITER/BA成果報告会ってどんな報告会なの?

2019年12月19日に東京大学で開催された核融合実験炉(ITER)実現に向けた取り組みを発表する報告会です。
地上の太陽とも称される核融合発電は世界7極(日,EU,露,米,韓,中,印)で研究が進められており、フランスで実験炉(ITER)が建設されています。
今回の報告会では、ITER機構からのライブ中継によるITER建設状況の説明や、各機関による研究開発状況の発表などがあり、立ち見が出るほど大盛況でした。

2. そもそも核融合って安全なの?燃料は何を使うの?

核融合と聞くと核分裂(原子力)を連想される方も多いかと思われますが、核分裂と核融合は全くの別物です。
核融合発電の燃料は海水中の重水素とリチウムで、ウランは使いません。また、核分裂のように連鎖反応が続くことはなく、燃料の供給を止めれば、すぐに停止します。このように、安全性が高く燃料が無尽蔵なことから、未来のエネルギーとして今後の展開に期待が寄せられています。
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出典:量研機構ホームページ (http://www.fusion.qst.go.jp/ITER/index.html/)

3.ITERと当社はどのように関わっているの?

ITERの中にタングステンブロックが使用されています。
炉の中で最も熱負荷が高くなるダイバータ(プラズマ中の不純物排気装置)に、高耐熱部品として用いられています。

また、当社のタングステンブロックは高い耐熱性が特長で、過酷な高熱負荷試験に合格できたことから、世界中から高い評価をいただいており、ITERに実際に採用されるよう日々研究に取り組んでいます。
(写真は当社のタングステンブロックです。冷却パイプを通すためにブロックに穴が開いています。)

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出典:量研機構ホームページ (http://www.fusion.qst.go.jp/ITER/index.html/)
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4.今回の展示はどのような内容なの?

当社はパネル、機器展示に参加しました。「とにかく触れてもらう」をコンセプトに、タングステン、モリブデンとはどういう金属か知っていただけるような展示を心掛けました。例えば、各種金属と重さの比較をして、タングステンが"重い金属"であることを体感いただきました。
目玉となったのは量子科学技術研究開発機構様からお借りした、プラズマ照射で2,000℃まで熱が上がっても割れず、表面状態をきれいに保てる当社のタングステンブロックです!こちらは、ITERの求める規格をクリアした“現物”で、来場者の方には感動頂けました。
また、純粋なモリブデンと当社製のモリブデン棒を実際に曲げて比較し、脆さの違いを体感頂くことで、当社が開発した耐熱性モリブデンの特長をご理解いただき、お困りごとのヒントにして頂きました。
今回の展示には、多くの研究機関の方や学生、核融合に関連する企業の方に来場いただき、当社の製品がどのような所で活躍しているかを知っていただくことができたと思います☺



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5. 今後の予定

ITERの建設が進んでおり、タングステンブロックが搭載されるダイバーターの製作についてもこれから本格的に進んでいきます。当社もその計画に携われるよう準備を進めております。
また、核融合関連のフォーラムや展示会にも積極的に出展していきます。
2020年12月に愛媛大学で予定されているプラズマ・核融合学会や、2020年度のITER/BA成果報告会などにも参加していく予定です。

6. まとめ

高耐熱性、高比重を特長とするタングステン系の製品は、今後世界での様々な場所での活躍が期待されています。
今回扱ったタングステン系製品についてもっと詳しく知りたい方は、下のリンクをクリックしてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました😊

【執筆 N・F・K】

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