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空の安全を支える秘密-管制設備と放熱基板の関係-

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ヒートシンク/ 2023/11/01

現代の世の中では、航空機は私たちの日常生活に欠かせない交通機関です。
この交通機関が安全かつ効率的に運航されるためには、航空管制の存在が不可欠です。
今回は、航空機の運航に重要な役割を果たす管制設備と、それに欠かせない放熱基板(ヒートシンク)のお話です。

1.そもそも管制設備とは?

航空機を安全に誘導し、交通を管理する建物のことを航空管制設備と言います。
空港に建っているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。

管制設備では航空管制官が働いており、航空機の位置情報や識別情報をレーダーで捉えて、様々な指示や情報をパイロットに伝えています。
航空管制は、どの航空機がどこに行くか、どれが離陸したり着陸したりするかを管理する言わば目と耳であり、航空機の安全な運航を支える重要な役割を果たしています。



2. なぜ管制設備に放熱基板が必要なの?

実は、航空管制の必需品である航空管制用レーダーに高性能なアライドマテリアルの放熱基板が搭載されています。先ほども記載した通り、航空管制官は、航空機の位置情報や識別情報をレーダーで捉えて指示を出しています。

航空管制用レーダーは、高性能なもので約400km先の航空機まで捉えることができます。
しかし、遠くの航空機を捉えるには高出力のレーダーが必要であり、そのレーダーから高出力な電波を発生させる内部の半導体素子は、電波出力と共に熱も発生させます。
この発生した熱を効率的に放散するために放熱基板が半導体素子に接合されています。
これがなければ、半導体素子に熱が籠り出力が低下し、更には半導体そのものが壊れてしまう恐れがあります。
放熱基板は管制設備を運用するうえで非常に重要な役割を果たしているのです。 

レーダーは自動車のスピード取締りや野球のスピードガンなどでも使われていますが、高出力で簡単に修理や交換が出来ない管制用レーダーでは、当社放熱基板材料の主力材質であるCu-W(銅タングステン)やCu-Mo(銅モリブデン)だけでなくAg-Diamond(銀ダイヤモンド)放熱基板も採用されています。
Ag-Diamondは非常に高い熱伝導率を持ち、Cuの1.5倍である600W/(m・K)以上の値を誇ります。
この高い熱伝導率により、レーダー内の発熱した半導体素子を効果的に放熱させることができます。

また、熱膨張係数(温度変化による伸び縮みの割合)が半導体素子に近いため、温度変化に強く、長期間にわたりレーダーの出力を安定させることができます。
Ag-Diamondは、高出力の航空管制用レーダーの中から皆さんの空の上の安全を守っているのです。


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3.まとめ

今回のお話はいかがでしたか?
管制設備のレーダーにおける放熱基板は、私たちの空の旅の安全を支える縁の下の力持ちです。
その働きは目には見えませんが、私たちが安全に航空機に乗り、旅行を楽しむためには欠かせないものだということを覚えて頂けたらと思います。

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【執筆 S】