ダイヤモンドダイスとは、「伸線加工」や「線引き加工」行うダイヤモンド工具です。線材の直径を細くし、狙いの線径に加工することを「伸線加工」または「線引き加工」といいます。このとき使用する入口側が太く出口側が細くなっている円錐形の穴をもつ工具を「ダイス」と呼びます。ダイヤモンドダイスはこの伸線加工の作業部分がダイヤモンドでできているもので、超硬製のものに比べ高精度、高寿命が可能となっており、用途によってダイヤモンドの種類やダイスの形が変わります。
潤滑剤は、引抜き加工をする際にダイスと線材との摩擦を小さくし、ダイスの摩耗を抑えたり線材の焼付きや表面のキズを防ぐために必要となります。種類は乾式潤滑剤、湿式潤滑剤線材、油性潤滑剤などがあり、線材や加工方法、求められる仕上がり状態によって使い分けられます。
単結晶ダイヤモンドダイスは高い熱伝導率を誇る単結晶ダイヤモンドを使用しており、高品位、長寿命が特徴で銅線やステンレス線など幅広い用途に使用されます。特に極細線伸線や高品位な表面粗さを求められる加工に適しています。
焼結ダイヤモンドダイスは、ダイヤモンド粉末を超高圧焼結した素材を使用します。対象素材は単結晶ダイヤモンドダイスと同じですが、大きなサイズにも適用が可能なため、大径から細線まで幅広い用途に適用が可能となります。
異形ダイスは断面形状は丸以外の異形形状となっています。変圧器の巻線などの重電産業から一般電気機器で使用されるコネクターピンやフラットケーブル、またネックレスの鎖など装飾品用など、さまざまな異形線の製造に使用されます。
正方形
トラック形
六角形
リボン形
圧縮導体ダイスは、導体(線材)を撚り合わせると同時に円形圧縮する工具で、電力線ケーブルや自動車用低圧電線(ワイヤハーネス)などに用いられます。
皮剥ダイスは伸線後、表面の油、酸化物、気泡、傷等を除去する工具で、線材表面をダイヤモンドの内周刃によってそぎ落とすダイヤモンドダイスです。
錫引き用ダイスは、線材を錫めっきする工程で使用します。錫めっきした線材を錫引き用ダイスに通すことでめっき厚みをコントロールすることができます。めっき工程で使用されるため、ケースには耐食性の高い素材が使用されます。
線材加工用工具は、リード線などの電子材料をはじめ、各種線材の切断・スエージングに使用します。
押出しノズルは、シャープペンシルの芯の成型加工のような半練状の素材を押し出して成型する加工に使用します。噴射ノズルは、噴霧乾燥法(スプレードライヤ)などの微小粉末造粒用の先端などに使用されます。
ウォータージェットノズルはノズルにダイヤモンドを使用したノズルです。作業圧力が高く直進性の優れたダイヤモンドノズルは、電子部品や自動車産業をはじめさまざまな産業で、バリ取り・切断加工や戦場作業に使用されています。
伸線ダイスで引き抜かれた線材に樹脂皮膜する工程でガイドの役割をする工具です。押し出し機のヘッド形状や皮膜する線径などにより、クロスヘッドの形状やニップルの形状なども変わります。